A/Bテスト(以下、ABテスト)は、「どのパターンがより成果を出せるか」を、ホームページや、ネット広告(バナー広告)、アプリ、メルマガなどで計測するテストのことです。
実は、1900年初頭にダイレクトメールにクーポンをつけて「どのパターンが良いか?」をテストしたのが始まりとされている、意外と歴史のあるテスト方法なんです!
ABテストは、主にウェブマーケティングで使われることが多いのですが、ウェブ意外では飲食物の味が異なる2種類の商品を同時に発売して、どちらが良いか投票するのも、ABテストに該当します。
ここでは、ABテストのやり方、必要性、失敗例を踏まえた注意点について解説します。
ABテストのやり方
・お問い合わせ、資料請求数が伸び悩んでいる
・ホームページ、SNS等のアクセス数が下がってきた
・コンテンツが見られていない(トップページで離脱された、メルマガの開封率が低いなど)
これらの課題に解決の優先順位をつけることが重要です。
また、課題の洗い出しには計測した数値を使い、推移をしっかり見ることもテスト項目の決定に左右します。
課題を洗い出すと「どれも改善したい」となりがちですが、①で解説した「優先順位の高いもの」を改善するための目的を明確にしましょう。測定が可能な目標も合わせて設定します。
例)お問い合わせ、資料請求数が伸び悩んでいる場合:お問い合わせフォームの送信件数、資料ダウンロード数を○件から□件に増やす
主な項目は以下の通りです。
・掲載する記事(コンテンツ)のテーマ
・お問い合わせ、資料請求などにつながる導線
・ホームページ内のデザイン(背景色、画像、レイアウト、アニメーションなどの効果設定)
・アクションボタンのデザイン(色、大きさ、文言、配置箇所)
「今すぐ購入」「お問い合わせはこちら」など、アクションボタンの色や形はお問い合わせなどのユーザーの行動に直接影響します。
テストツールを使って、ランダムに抽出したお客さまに異なるバージョンのものを見ていただきます。
メルマガ:配信対象者を全体の○%で設定し、同時期に配信
ホームページ:公開済みのサイトと、別のページにつながるURLを案内する
同じ期間で集計をすることで、より実地に近い結果が得られます。
どちらがより反響があったかは集計した数値で判断できるので、良い結果を採用(反映)します。
①で洗い出した課題の中から、優先順位の高いものを選び、テストを継続→反映していくことで、よりよいものになっていきます。
ABテストの必要性
ここまでABテストのやり方を解説してきましたが、では、なぜABテストが必要なのでしょうか。
企業では、限られた予算や社内の資源の中で、最大の効果を得ることが求められます。広告やマーケティングに充てる費用対効果を最大限に高めるためには、販売戦略の立案→目標の設定→検証→改善 のサイクルを回していくことがとても重要です(やみくもに商品のリリースやホームページへの掲載をしても長続きはしませんよね)。
その点、ABテストは数値で結果が明確に出るので、推測や立案(主観)が正しいかどうか、どちらがいいのかということを説得力をもって証明できます。
また、ABテストはお客さまの選択した「良い方の結果」が、お客さまにとって魅力的であるということになり、最終的にはお客さまの利便性、満足度向上につながります。
特に、中小企業や個人経営の店舗では、ABテストでの運用は少ないリスクで改善を積み重ね、効率的に運用を進めることが可能なため、大規模な予算をかけずとも、長期的な目線で見ると大きな成果を得ることにもつながります。
さらに、もしもサイトの訪問者が少なくても、丁寧なテストを繰り返すことで改善点を見つけ、徐々にサイトのパフォーマンスを高めていくことができます。
ABテスト実行時の注意点と失敗例
ABテストを実行するにあたり注意すべきポイントと失敗例を紹介します。
「アクセス数を増やしたい」「お問い合わせ数を増やしたい」などのおおざっぱな目的だけでは、お客さまの潜在的な要望がどの箇所にあるのかがわかりづらく、テスト以降の改善にもブレが生じてきます。
例えば、訴求動画の埋め込みのABテストを行うとして、A案はトップページへの配置、B案はトップページ最下部 のテスト項目を作ったとします。結果予測ではA案だったとして、テスト結果が逆のB案だったとしたら、なぜA案の方が数値が低かったのかの原因探しに時間がかかってしまいます。
「Aの位置にすると、動画を見たお客さまが問い合わせをクリックする回数が増える」「Bの位置にすると、ホームページを最後まで見てくれる(Aの位置だと、動画で完結してホームページからの離脱につながるかも)」など、お客さまの心理を考えながら、仮説を立て、ABテストを実施してみてください。
3つ以上のパターンでの実施も可能ですが、結果的にあまり差が出なかった時に「どれにしよう・・・」と迷う原因になります。
せっかくABテストを実施しても、すぐ反映しないことでお客さまの離脱や満足度低下につながってしまいます。鉄は熱いうちに打て、という格言のように、改善はできる限り早い方が良い結果にもお客さま満足にもつながります。
A/Bテストのやり方、必要性、失敗例を踏まえた注意点について解説しました。
憶測を基にした改善よりも、明確な数値をベースに改善箇所を明らかにした上でABテストを行い、数値の結果が良い方を反映する・・・これほど客観的で、良い効果につながるテスト方法だからこそ、1900年代から100年以上利用されてきたのではないでしょうか。
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